BLACK&WHITE 【梅茶付け】

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タンポポ
二章~とある少年と少女と猫の物語~

三階の右から数えて四つ目の病室がハナの飼い主のいる部屋らしかった。
部屋の前につくと気を使っているのか看護婦はここで待っているからどうぞと部屋の前で立ち止まった。
ハナの飼い主とはそんな仲ではないのだが・・・

部屋のドアを静かに開ける。
そこは殺風景な一人用病室で、かなり設備の整った部屋だった。
おもい病気なのだろうか?
その病室の中央に置かれたベッドに、ハナの飼い主はいた。
彼女は髪を肩で揃えられていて、自分と同じぐらいの年の少女だった。どこか儚く見えるのは気のせいだろうか?
こちらに気付くと彼女は首をかしげて、
「どなたですか?」
勢いに任せて手に持っていた花を差し出した。
「これ、ハナからの贈り物。」
少女はどう反応すればいいか困っているらしく、ただ呆然とこちらを見つめていた。
(なにやってんだ俺は!あぁ第一印象最悪だ。
まさか少女だとはおもわなかったんだ!おばあちゃんあたりを想像していたんだ!!)
そもそもここへ来たのは子猫について聞きたかったのと、あんなに懐いている飼い主の顔が見たかったのと、子猫を手伝いたかったのと・・・えーと
そうだ子猫だ。
事情を話そうとしたそのとき
「あっ!」
そこで彼女はなにかに思い当たったらしく黄色い花を受け取った。
「ハナが?これを?」
彼女は驚いたようだった。
「うん、やっぱり君の猫だったんだね」
「ハナ・・・そうだったんだ・・・」
彼女は自らを心配してくれているやさしい猫のことを思い浮かべているようだった。よほど可愛がっていたのだろう
「毎日病院の敷地にお見舞いに来ているみたいだよ。」
彼女はさらに驚いた顔をした。
「それで可哀想になってきて、俺が届けに来たって感じなんだけど・・」
彼女はしばらく花を見つめていた。
左手に点滴の針がついているのが目に付いた。彼女の手は驚くほどに白く、おもい病気なのだということを物語っていた
白で統一された病室の空間に花の黄色が目立って見える。
「あの」
「え?なに?」
顔を上げた彼女はすこし泣いているような顔をしていた気がして、すこし慌ててしまった。
「あの子猫は・・・」
それから子猫の話をした、猫については詳しくないけど、そんな話ではなくて、好きな食べ物とか、どうしてハナなのかとか。子猫の名はやはり花からとってハナらしい。
病院の敷地内ではいつ捕まってしまうかもわからないので
しばらく面倒を見るという言葉が口から出ていた。
そんな話をしているうちに時間はあっという間に過ぎてしまった。
部屋を出ようとしたとき。
「あの、名前聞いて無かったなって・・・」
そう言えば自己紹介も無しに、俺はいきなり花を差し出すという失礼極まりない行動に出たのだった。
思い出すだけで赤面してしまう。
「あ、夏希って言います。」
「私有紀って言います。よろしくねっ」
赤面しながらも彼女は微笑んで自己紹介をしてくれた。
最後に笑った彼女はとても病気とは思わせない明るい笑顔だった。笑顔が似合うきれいな子だな。

ふと昔を思い出した、まだ元気だった頃の妹に似ている、いやな昔を思い出してしまった。俺には妹がいたのだ。昔、まだ俺が小さかった頃・・・

病院を出て猫をみつけた。かれこれ二十分以上はたっているだろうにいまだにスルメと格闘していた。その姿に微笑がもれてくる。
「なぁ、今日うちでご飯食べていきなよ、すぐそこだから。」
スルメと格闘している子猫にたずねた。しばらくしてニャーとかわいらしい声で返事をした。
どうやらやっと強敵スルメに勝利できたらしい。

その日から子猫ハナはうちの隠れ家族となった。
姉貴にとてもかわいがられて(いじめられて?)いるようなのでよかったと思う

しばらくしてまた行ってみようと思った。
まったくの赤の他人で、彼女の病気のことなんてなにも知らないのに、
それでも御見舞いに行くことぐらいは大丈夫だよな?

お見舞いに行くときに花を買って持っていく事した。
子猫に花からハナと名付けているぐらいだから花が好きだろうと予想してのことだった。
病院の敷地内へ入ると、まず辺りを見回す。
いた。
今日はベンチの上で日向ぼっこをしている。猫になりたいなぁ・・
「よう、元気かハナ」
ニャーとかわいらしく返事をする
もう俺にもなれてくれたようだ。
最近では病院のすぐ近くにある我が家にご飯をもらいに来たりしている。

院内へ入ろうとするとハナまでついてきてしまった。
病院の中はもちろん動物禁止だ。敷地内でも危ないのではないだろうか?
「ごめんな、おまえは連れていけないんだよ」
にゃーという返事が返ってきたが、わかっている気配も無いので、ポケットから最終兵器を取り出す。
それに食いついている間に病院の中へ入った。ごめんよハナ

今日は看護婦からは何も言われずに部屋に入れた。容態がよくなっているらしい。
「こんにちわ」
多少緊張気味であったかもしれない
彼女は驚いていたが、嬉しそうな顔をしてくれた。
「こんにちわ」
笑顔でそう返してくれた。
「これを御見舞いにもってきたよ。花が好きだといいんだけど」
手に持ってきた花束を渡すちなみに千二百円、
「すごい、きれい・・・」
よかった気にいってくれた。
その日も時間はとても早く過ぎていった。
もう少し話しがしていたい、素直にそう思った
帰り際に彼女は遠慮がちに聞いてきた。
「また来れる?」
「もちろん」
笑顔で答えた。彼女はとても嬉しそうに笑ってくれた。
それから三日に一度はユキに会いに行った。
彼女の病気の事は相変わらず知ることは出来なかったけれど、彼女は元気な病気だと忘れてしまうような笑顔で迎えてくれた。

とてもいつ死んでもおかしくないような病気には見えなかった・・・

彼女と親しくなって病気のことを聞いたことがあった
彼女はずいぶん前からこの病院で入院していたらしかった。
病気の種類はわからないらしく、昔から色々苦労していたようだった。
そんな中で家族の事が話題になり、これだけは話すまいと思っていたことを。妹の事をしゃべってしまった。
たんに自分が悲しい思い出から逃げていただけだったが。
彼女に暗い顔は見せたくなかった。

昔妹がいたこと。その妹が病気で幼いころに死んでしまったこと。
幼い俺はただ泣いて、姉に抱きしめられているだけだった。

しかし彼女は真正面から話に向き合ってくれて結局は慰められてしまった。
彼女は強いと思う、病気なのに、小さい頃から体が弱いと言うのにまったく弱さを見せなかった。
見せていないだけかもしれないけど、その強さ、まっすぐな気持ちはいまの自分に足りない何かを感じさせてくれた。


いつか彼女は俺に話しをした。

病状が回復に向かってきたということで、外を二人で散歩したことがある。
門から新しくできた本錬まで一直線の並木道がとおり。その並木道を挟んで東側に広い公園のようなものがあり、西側には旧錬がたたずんでいる。抜け道はそ旧錬の裏の壁にあった。
そのころにはお互い打ち解けあっていた。

不思議だった。

初対面なのにこんなにいろいろと話せるものだろうか。
彼女の強さ、生きる強さ、どこか儚くて悲しげな瞳で、しかしまっすぐに今の自分を見つめ向き合う彼女に、特別な感情を抱いていたのは嘘ではないと思う・・・

すこし寒い。しかし空気のきれいな日
強引にも外に散歩に行きたいと言い張る彼女と共に
病院の敷地内にある林道を歩いているとき、
ふと彼女は言った。
「私ね、回復に向かっているって言われてるけど・・・」
そこでいったん言葉を切ってから、
「いつ死んでもおかしくないんだよね」
投げやりな彼女の言葉が、胸に突き刺さった。
返す言葉もなく青くなった顔をした俺に彼女は微笑んで続けた。
「この歳まで生きていられるのはすごいんだって、お医者さんが話してるの、聞いたことあるんだ」
「ずっとね、流れるように生きてた、海に浮かんでるように、身を任せてた」
彼女は何かをつかむように空へ両手を伸ばした。
「でも違ったんだ・・・」
「すごく実感した、時間は流れてるんだって、とっても大切なんだって・・・」
俺は黙って聞いていた。
「こうやってなっちゃんとお話してて思うの、もっと時間を大切にすればよかったって、もっと時間がほしいって・・・」
彼女が泣きそうな顔になっていたのは見間違いなんかじゃなかったと思う。

彼女は弱さをずっと、隠してきたんだ。
自分の未来を受け入れていたんだ。
不安がないわけがない。死と向かい合わせの毎日。
怖いにきまってる。

気づけばそっと抱きしめていた。
そこではじめて彼女は。病気と向き合いそれでも前を進もうとしてきた強い少女は涙を流した。
恐くないわけがない。不安がないわけがない。
服が涙でぬれても、
彼女が泣き止むまで抱きしめ続けた。

生きることが辛いとおもう人に、彼女のことを見せてやりたいと思った。

そんなことを言う人に、彼女のことを話してやろうと思った。
いつ死ぬかわからない、死といつも見つめあって生きているユキのことを。

それでも強く、一日一日を踏みしめて歩いている一人の少女のことを・・・

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